「理学療法士として働いているけれど、なかなか給料が上がらない」
このように感じている方は少なくないと思います。
理学療法士は国家資格であり、専門職です。しかし、実際には経験年数が増えても大きく年収が上がりにくい職場もあります。
私自身、回復期のリハビリ専門病院、総合病院、デイサービス、整形外科クリニックと複数の職場を経験してきました。今の職場では採用や育成に関わる立場でもあります。その中で感じるのは、年収を上げるには「ただ長く働く」だけでは限界があるということです。職場の種類が変われば評価される基準も大きく変わる、というのが実感です。
この記事では、理学療法士が年収を上げるために考えたい現実的な選択肢について解説します。
理学療法士はなぜ年収が上がりにくいのか
まず、理学療法士の年収が上がりにくい理由を整理しておきます。
職場にもよりますが、理学療法士の給与は、年功序列で大きく上がるというより、基本給に少しずつ昇給が加わる形が多いです。
また、リハビリテーションは診療報酬や介護報酬の枠組みの中で提供されるため、職場側も人件費を大きく上げにくい事情があります。回復期病院と整形外科クリニックでは収益構造自体が違うので、同じ「理学療法士」でも昇給のペースはかなり異なります。
さらに、認定理学療法士や専門理学療法士などの資格を取得しても、それが必ず給与に大きく反映されるとは限りません。資格手当として数千円つく職場もあれば、そもそも手当の制度自体がない職場もあります。
もちろん、資格取得や勉強が無意味ということではありません。ただし、年収を上げる目的だけで考えると、資格取得だけでは不十分な場合もあります。
理学療法士が年収を上げる主な方法
理学療法士が年収を上げる方法は、大きく分けるといくつかあります。
① 同じ職場で昇給・昇格を目指す
一番分かりやすい方法は、今の職場で昇給や昇格を目指すことです。
主任、係長、リーダー、管理職などの役職に就くことで、役職手当がついたり、基本給が上がったりする可能性があります。
ただし、すべての職場で管理職のポジションが用意されているわけではありません。
特にリハビリスタッフの人数が少ない職場では、役職自体が少なく、どれだけ頑張っても給与が大きく上がりにくいことがあります。実際、スタッフ数人規模のクリニックでは、上のポストが空かない限り昇格自体が起きない、ということも珍しくありません。
また、管理職になると、臨床以外の業務も増えます。
- スタッフ管理
- シフト調整
- 面接対応
- 書類管理
- 他職種との調整
- トラブル対応
など、現場業務とは別の責任が増えることもあります。
管理職の給与が上がるのは、役職手当がつくからというより、責任が増えることへの対価です。年収を上げたいけれど責任は負いたくない、という考えであれば、そもそも管理職を目指す方向性自体が合っていません。役職手当の金額と、増える責任・業務量を天秤にかけたときに「割に合わない」と感じて昇格を辞退する人も実際にいます。
採用や評価に関わる立場から見ていても、管理職候補として声がかかりやすい人には共通点があります。
- スタッフと円滑に関われる
- 患者さん対応が安定している
- 感情的になりすぎない
- 後輩指導ができる
- 他職種と連携できる
- 職場全体のことを考えられる
逆に、臨床技術や資格を強くアピールしていても、協調性や社会性に不安がある場合、管理職候補としては慎重に見られることがあります。臨床がうまいことと、人をまとめられることは、必ずしも一致しません。実際、技術評価は高いのにリーダー職を任せられない、という判断をするケースもあります。
年収アップを目指すなら、臨床スキルだけでなく、職場の中で信頼される働き方も重要です。
② 給与水準の高い職場へ転職する
年収を上げる方法として、転職は現実的な選択肢の一つです。
同じ理学療法士でも、職場によって給与水準は異なります。
例えば、
- 病院
- 整形外科クリニック
- 訪問リハビリ
- 介護施設
- 管理職候補
など、働く場所や役割によって収入は変わります。
ただし、給与だけを見て転職するのは注意が必要です。
給与が高い職場には、それなりの理由がある場合もあります。
- 業務量が多い
- 残業が多い
- 訪問件数が多い
- スタッフの入れ替わりが多い
- 責任が重い
- 休日が少ない
など、求人票の月給だけでは分からない部分もあります。
年収を上げるために転職を考える場合は、給与だけでなく、休日・勤務時間・業務量・職場の雰囲気まで確認することが大切です。
年収アップを考える場合は、今の職場だけでなく、他の求人条件を比較してみることも大切です。
【PR】
▶︎ レバウェルリハビリ
③ 訪問リハビリに挑戦する
訪問リハビリは、理学療法士が年収を上げる選択肢として挙がりやすい分野です。
病院やクリニックと比べて、訪問件数に応じた手当やインセンティブが設定されている職場もあります。
また、訪問リハビリでは利用者さんの生活環境を直接見るため、病院やクリニックとは違った視点が求められます。
一方で、訪問リハビリには大変な面もあります。
- 移動がある
- 天候に左右される
- 家族対応がある
- ケアマネジャーとの連携がある
- 書類業務が多い
- 一人で判断する場面がある
収入面だけでなく、自分に合った働き方かどうかを考える必要があります。
④ 副業を考える
理学療法士としての収入だけで大きく年収を上げるのが難しい場合、副業を考える人もいます。
例えば、
- 他院・他施設でのアルバイト
- セミナー講師
- ライティング・ブログ運営・SNS発信
などがあります。
他院・他施設でのアルバイトは、理学療法士としての専門性をそのまま活かせる分、収入に直結しやすい選択肢です。
一方で、注意が必要なものもあります。
ライティング・ブログ運営・SNS発信といった情報発信系の副業は、個人情報を適切に管理できることが前提になります。匿名性を保てない、あるいは勤務先が特定されるリスクを自分で管理できない場合は、安易に手を出さない方が安全です。
介護予防教室は、地域や主催元によってはボランティアに近い形で行われることも多く、収入として大きく期待できない場合があります。依頼を受ける前に、報酬の有無や金額を確認しておくことをおすすめします。
また、副業は簡単に収入につながるものではありません。
時間も労力もかかりますし、勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合もあります。始める前に必ず就業規則を確認し、必要であれば職場に確認を取っておくことをおすすめします。
また、医療・健康情報を発信する場合は、根拠のない情報や過度な表現を避ける必要があります。
副業を考える場合は、まず勤務先のルールを確認し、無理のない範囲で始めることが大切です。
年収を上げたいときに注意したいこと
給与だけで転職先を選ばない
年収を上げたい気持ちは自然なことです。
しかし、給与だけで転職先を選ぶと、入職後に後悔することがあります。
例えば、月給が高く見えても、
- 固定残業代が含まれている
- 基本給が低い
- 賞与が少ない
- 休日が少ない
- 業務量が多い
ということもあります。
求人票を見るときは、月給だけでなく、基本給・手当・賞与・昇給・休日数まで確認しましょう。
自分の市場価値を冷静に見る
年収を上げるには、自分が転職市場でどのように見られるかを知ることも大切です。
採用側は、給与に見合う働き方ができるかを見ています。
例えば、
- 即戦力として働けるか
- 患者さん対応が安定しているか
- スタッフと協力できるか
- 管理業務を任せられるか
- 長く働いてくれそうか
といった点です。
経験年数が長いだけで高く評価されるわけではありません。採用面接をする側として感じるのは、経験年数より「何ができるか」「どう関われるか」を具体的に話せる人の方が、結果として評価されやすいということです。
年収アップを目指すなら、自分が職場にどのような価値を提供できるかを整理しておくことが大切です。
条件交渉は慎重に行う
転職時に給与交渉をすることは悪いことではありません。
ただし、希望年収だけを強く伝えると、採用側には慎重に見られることがあります。
大切なのは、希望条件とあわせて、自分がどのように職場に貢献できるかを伝えることです。
例えば、
- 運動器リハビリの経験がある
- 後輩指導の経験がある
- 管理業務に関わった経験がある
- 訪問リハビリの経験がある
- 立ち上げや業務改善に関わった経験がある
など、具体的に伝えると説得力が出ます。
年収アップを目指す前に整理したいこと
年収を上げたいと思ったときは、すぐに転職活動を始める前に、次のことを整理しておきましょう。
- なぜ年収を上げたいのか
- どのくらいの年収を目指したいのか
- 休日や残業はどこまで許容できるのか
- 管理職を目指したいのか
- 臨床を続けたいのか
- 訪問リハビリに興味があるのか
- 家庭や生活とのバランスをどう考えるのか
年収だけを上げても、働き方が合わなければ長く続けるのは難しくなります。
自分にとって何を優先したいのかを整理しておくことが大切です。
まとめ
理学療法士が年収を上げる方法には、同じ職場で昇格を目指す、給与水準の高い職場へ転職する、訪問リハビリに挑戦する、副業を考えるなどの選択肢があります。
ただし、どの方法にもメリットと注意点があります。
大切なのは、給与だけで判断しないことです。
求人票の月給だけでなく、基本給・賞与・休日・残業・業務内容まで確認し、自分に合った働き方を考えることが大切です。
年収アップを目指す場合でも、焦って決めず、求人票・見学・面接を通して冷静に判断しましょう。
関連記事
理学療法士の給料が安いと感じる理由はこちら。
▶︎ 理学療法士の給料が安いと感じる理由5選|15年以上働いて感じた現実
求人票で給与を見るときのポイントはこちら。
▶︎ 理学療法士が転職前に求人票で確認すべきポイント|見落とすと後悔しやすい項目
転職サイトを使うメリット・デメリットはこちら。
▶︎ 理学療法士が転職サイトを使うメリット・デメリット|利用前に知っておきたいこと
転職で後悔しないために確認したいポイントはこちら。
▶︎ 理学療法士の転職で失敗する人の特徴7選|15年以上の現場経験から解説
訪問リハビリへの転職を検討している方は、仕事内容や向いている人の特徴についても事前に確認しておくことをおすすめします。
▶︎ 理学療法士が訪問リハビリへ転職するメリット・デメリット|向いている人・注意点も解説
転職サービスを利用する場合の特徴や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ レバウェルリハビリの評判は?特徴・メリット・デメリットを現役理学療法士が解説【PR】


